遺贈寄付の知識

遺言以外に遺贈寄付の意思を伝える方法はありますか?

◆信託、契約、エンディングノート、手紙などの方法があります

本書では、遺言による寄付、相続財産の寄付、信託による寄付の3つを遺贈寄付と総称しています。遺贈寄付の意思を伝える方法は、遺言だけに限りません。
 「信託による寄付」の特徴は、①委託者(贈与者)・受託者(信託銀行等)・受益者(受贈者)の三者の契約で成立 ②遺産から信託財産を分離 ③分割して資金交付することも可能、などがあります。
 信託には、信託銀行や信託会社が取扱う商品と、「家族のための信託」のように家族が受託者となって信託を引き受けるものがあります。
 信託銀行等を利用した寄付は、最低取扱額や手数料が高いものもあり、誰でも気軽に利用できるとは限りませんが、信頼性と実現性が高く、遺言にはない機能(上記の信託の特徴など)もありますので、検討する価値はあります。
 また、寄付者が生前に寄付先の団体と死後に財産を寄付することを契約しておく「死因贈与」という方法もあります。「死因贈与」は課税も含めて多くの点で「遺言による寄付(遺贈)」と同様に扱われますが、書面による死因贈与契約の場合、寄付者が一方的に撤回や解除ができない点で遺贈と異なります。また、不動産を死因贈与する場合、登記の登録免許税の税率が遺贈よりも高い点や、受贈者に不動産取得税が課せられる点(遺贈による場合は非課税)に注意が必要です。
 一方で、「寄付はしたいけれど遺言も信託も面倒。寄付先も寄付額も、自分が亡くなった後に家族の判断に任せたい」とご希望される方は、エンディングノートや手紙にその想いを家族宛てに書いておき、相続財産から寄付する方法もあります。遺言のような法的な効力はないものの、家族にとって有効な指針となります。書き方は自由ですが、「誰に:どのような分野に 寄付したいのか」「金額:何をいくら寄付したいのか」「理由:なぜ寄付したいのか」などを記載すると良いでしょう。

種類意思を伝える方法
遺言による寄付生前に公益財団を設立して遺贈
冠基金として公益法人等へ遺贈
コミュニティ財団や中間支援組織へ遺贈
⇒ 財団等から助成金として支援
特定の団体へ直接遺贈
 ①遺言執行者あり
 ②遺言執行者なし
相続財産の寄付遺言書の付言事項
エンディングノート
手紙
信託による寄付公益信託
特定寄付信託(日本版プランドギビング信託)
特定贈与信託(残余財産の帰属権利者として)
家族のための信託
遺言代用信託
生命保険信託
財産承継信託
死因贈与生前に寄付先と死因贈与契約を結ぶ
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