◆一般的には自筆証書遺言と公正証書遺言の2つです
「自筆証書遺言」は遺言者が全ての文章、日付、氏名を自筆(署名)し、押印して作成する遺言です。費用を掛けずに手軽に作成でき、いつでも変更ができるなどのメリットがあります。一方、遺言書の隠匿や紛失のリスクがあるほか、遺言としての要件を欠いて無効になるおそれや、本当に本人が書いたものか遺言者の死後に争いになる可能性があるなどのデメリットもあります。※
「公正証書遺言」は、公証人が作成し、公証役場に原本が保管される遺言です。法律上の要件を満たさず無効になる可能性は低く、隠匿や紛失のリスクはないなどのメリットがあります。一方、作成のための費用がかかり、また、遺言の内容は証人(2人以上必要)に知られてしまうというデメリットもあります。 作成費用は公証役場のウェブサイト等で公開されています。遺言書は何通でも作れますが、複数の遺言の内容が重複するときは、後に作成された遺言の効力が優先します。
※なお、2018年7月の立法措置により、2019年1月13日以降に作成される自筆証書遺言の財産目録については、自筆でなくても良いことになりました。
種類 | 要件 | 証人など | 検証2) |
自筆証書遺言 | 遺言者が全文、日付、氏名 を自書(署名)し、押印する ※封印は要件ではない | 不要 | 必要 |
公正証書遺言 | 遺言者が口授した内容を公証人が遺言書にまとめ、遺言者に読み聞かせて確認する 3) | 公証人1人、証人2 人以上 | 不要 |
<遺言作成時の留意点>
【押印】は実印によらなくともよく、拇印、指印でもよい。
【氏名】は戸籍上の氏名と異なる通称名でも個人特定ができればよいが、財産の名義変更時に確認が必要となる。
【日付】は、特定できる記載があればよく、遺言者の「○歳の誕生日」といった記載でもよい(「○年○月吉日」では特定できないため無効となる)。
【証人・立会人】には、未成年者、推定相続人・受遺者及びこれらの配偶者・直系血族、公証人の関係者・使用人はなることはできない。
2) 検認とは民法で定められた自筆証書遺言の確認・保全のための家庭裁判所の手続です。相続人に対して遺言の存在と内容を知らせ、検認の日現在の遺言書の内容を明確にして、後日の偽造、変造を防止することを目的としています。なお、法務局に預けられた自筆証書遺言については、検認を不要とする立法がなされており、2020年7月までに施行される予定です。
3) 病気や障害により話すことが難しい方でも、通訳人の通訳や遺言内容を自書することによって、公正証書遺言の作成は可能です。