遺贈寄付の知識

遺言に基づく財産承継はどのように行われますか?

◆遺言執行者又は相続人が遺言を執行することで財産の承継が行われます

遺言の効力発生後、遺言の内容を法的に実現するために相続人又は遺言執行者が行う手続きを遺言の執行といいます。遺贈を実現するためには、遺贈の対象財産の名義変更や引渡しなど、 遺言執行者又は相続人による遺言の執行が必須となります。承継させる財産の種類や遺言の内容によって必要とされる執行行為は異なり、相続人又は受遺者に対して遺言者の財産の引渡しだけを行えばよい場合もあれば、財産の管理、売却、債権の取り立て、債務者への通知、弁済等を伴う場合もあります。
ところで、遺言者の遺言が自筆証書遺言であった場合には、相続開始後、執行前に検認の手続きが別途必要になります。検認手続とは、遺言書の保管者又は遺言書を発見した相続人が申立人となり、相続人に対して、遺言の存在とその内容を知らせるとともに、遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして、遺言書の偽造・変造を防止するための家庭裁判所の手続きをいいます。
遺言の執行は、遺言で指定された遺言執行者が行います。遺言執行者は個人だけてでなく法人もなることができます。
遺言で遺言執行者の指定がない場合や、遺言で指定された遺言執行者が就任を拒絶しもしくは就任後に辞任した場合、又は当該遺言執行者の欠格事由(未成年者・破産者)に該当する場合には、家庭裁判所に選任された遺言執行者が遺言を執行します。家庭裁判所に選任を求めない場合には、相続人自らが遺言を執行しなければいけません。
遺言で遺言執行者が指定されず、相続人による遺言執行が円滑に行われない場合には、受遺者たる民間非営利団体は、利害関係人として家庭裁判所に遺言執行者の選任を求めることができます。
遺言の執行に関する費用および遺言執行者の報酬は、相続財産のからの支出となります。

<遺言執行者の権利義務>
①遺言執行者は、就任後遅滞なく相続財産の目録を作成して、相続人に交付しなければならない。
②遺言執行者は、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。
③遺言執行者はやむを得ない事由がなければ第三者に事務処理を委任することはできないが、遺言者が遺言で復任権を認めた場合は可能となる。
④遺言執行者は、相続人の代理人とみなされる。
⑤遺言執行者には民法の委任の規定が準用される。

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